コシノヒロコさん
「私はいつも、〈誰もやったことのないことをやりたい〉という信念をもって突き進んできました」(撮影:鍋島徳恭)
〈発売中の『婦人公論』3月号から記事を先出し!〉
再放送中の朝ドラ『カーネーション』が話題です。ヒロインのモデル・小篠綾子さんの長女・コシノヒロコさんは、88歳になる今も現役のデザイナー。そのパワーの源は?(構成:篠藤ゆり 撮影:鍋島徳恭)

前編よりつづく

誰もやったことのない
ことをやりたい

私が初めて海外でショーを行ったのは、78年のこと。ローマの「アルタ・モーダ」に日本人として初めて参加し、大きな反響を得ることができたうえ、ファッション雑誌『ハーパーズ バザー』のイタリア版で特集まで組まれました。

それを機にパリコレにも参加するようになりましたが、いわゆるファッション先進国以外でもショーをやりたいと思うようになっていったのです。私はいつも、「誰もやったことのないことをやりたい」という信念をもって突き進んできましたから。

それに、これまでおしゃれに興味がなかった女性たちに、ファッションの力でさらに人生を楽しんでほしいと願っていたからです。

そうして84年に中国の上海、87年に韓国のソウル、94年にはチェコ共和国のプラハでショーを行いました。

チェコ共和国は、チェコスロバキアが解体されて、93年に生まれた国です。初代大統領は、劇作家であり、チェコスロバキア時代に反体制運動の代表者でもあったヴァーツラフ・ハヴェルさん。

そのハヴェルさんとご縁があり、「ファッションショーをしませんか?」とご提案したところ、船出したばかりのチェコでショーを行うことになったのです。