「顎の衰え」がなぜ命に関わるのか

実は、全身が衰えるフレイルの前兆は口周りに現れることが多いとされており、これを「オーラルフレイル」と言います。

お口の機能(口腔機能)には「食べる(咀嚼)」「飲み込む(嚥下)」「話す(会話)」などがあり、中でも嚥下機能が衰えると口の中のものが誤って肺に入る「誤嚥」の原因に。誤嚥は、高齢者死因第3位の「誤嚥性肺炎」につながります。

誤嚥の原因は、喉にある弁を操作する筋肉が衰えることです。

通常、弁は空いたままなので鼻から吸った空気は喉を通過し肺へと流れ込みます。そして口に食べ物・飲み物を入れて飲み込む際には弁が働き肺への経路を塞ぐことで、飲み込んだ物は胃へと流れていきます。

この弁をコントロールしている筋肉を「舌骨上筋群」と言い、舌の奥から喉の骨(舌骨)付近、要するに下顎から喉にかけてあります。つまり顎にある筋肉が衰えると弁が作動しなくなり、誤嚥→肺炎となり、命が危険にさらされる結果となるのです。