【本を装う】
「TUGUMI」(1989) 包装紙のようにとイメージした吉本ばなな著『TUGUMI』のカバー

女性たちを主人公に

79年、『ティファニーで朝食を』などで知られるトルーマン・カポーティの小説世界を銅版画にした、オリジナルの銅版画集を作りました。人間を奥行き深く描き、タブーを突き破るカポーティの世界が私は好きなのです。

それを見た編集者の推薦もあり、村上春樹さんが翻訳された『おじいさんの思い出』に始まるカポーティ三部作の表紙画と挿画を手がけることになりました。

同じころ、「集英社ギャラリー 世界の文学」全20巻や、吉本ばななさんの小説『TUGUMI』の挿絵・装画を担当します。

出版界での仕事が増えることに抵抗はありませんでした。文学少女でしたから物語の世界を描くのは楽しかったし、本や雑誌は私にとってキャンバス、書店はたくさんの人が訪れるギャラリーだと思っていました。