【本を装う】
『婦人公論』1991年1月号の表紙を飾った「 読書する女」(1990)

そして、91年から『婦人公論』の表紙画がスタート。第1回の「読書する女」で描いたのは、自宅で夜、犬と一緒にくつろぎながら本を読む女性。

窓の外は一面の雪で、メリーゴーラウンドのように馬が走っている。これは女性の頭の中に広がる景色かもしれないし、窓に映り込んだ異空間かもしれない。

いつもは物語の世界を描いていたけれど、『婦人公論』では一人の女性を主人公に、私がつぶやくように物語を紡いでいきました。入院していた父が亡くなったのは、そんなときのことです。

 

【本を装う】『婦人公論』表紙1991年1月号~1998年3月号
最初の5年間は「~する女」がテーマ。何かの動作をしている女性を描いた。続く2年間は、平塚らいてうからリリアン・ヘルマンまで世界各国の心惹かれる実在の女性たちがモチーフに

後編につづく

【関連記事】
銅版画家・山本容子「ホスピタルアートに善意の押し売りや制作者の〈我〉は不要。手術や抗がん剤治療…自身の大腸がん闘病を経て、その思いは深まり」
韓国の手芸品・ポジャギ制作を55歳で始めて20年。一生続けたいと思える理由は?老眼鏡をかけながら、一針一針根気強く縫い上げる【2023編集部セレクション】
ディジュリドゥ奏者・画家GOMA「交通事故で脳に障害、記憶を失っても音楽活動は諦めなかった。意識が戻る時に見てる〈ひかりの世界〉を描かずにはいられない」

山本容子版画展世界の文学と出会う〜カポーティから村上春樹まで
第II期:2025年3月3日~5月27日/早稲田大学村上春樹ライブラリーにて
『不思議の国のアリス』など、児童文学をテーマにした作品を展示