患者の10%近くを襲う「インプラント周囲炎」とは

確かにインプラントは人工物なので虫歯にはなりません。しかし、歯周病にはなります。このことはあまり知られていないように思います。

そもそも歯周病とは、細菌の感染によって歯の周りの歯肉(歯茎)に炎症が起こり、それが進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにしてしまう病気です。

インプラントは人工物ですが、歯周病同様、まわりの歯肉に炎症が起こる可能性はあります。

これは「インプラント周囲炎」といって、インプラント装着から5年経過すると発症率が高くなるといわれる疾患です。インプラント装着後、3年以上経過した患者さんの約10%が罹患しているといわれています。

インプラントのまわりの歯肉が腫れたり、血が出たりする。歯ブラシに血がついているといった症状は、インプラント周囲炎の兆候である可能性があります。

インプラント周囲炎がさらに進行すると、骨が溶けてインプラントがぐらつき、外れてしまいます。インプラントが脱落するケースの多くはインプラント周囲炎が原因です。