襖の向う側には…

一方の蔦重。半左衛門から「瀬川と三人で話したいことがある」と言われ、松葉屋の中へついていくと、聞こえてきたのは男のうめき声。

「花魁は…ちょっと長引いているみたいだな」「気持ちが入っちまうと、聞こえ方も違うか?」と蔦重に伝え、襖を少し開く半左衛門。その間からは客の相手をしている瀬川の揺れる背中が…。

思わず顔を背ける蔦重。瀬川も蔦重に気づき、目を逸らします。

すると半左衛門は「どれだけ飾りたてたって、これが瀬川のつとめよ。年2日の休みを除いてほぼ毎日がこれさ」「客をとればとるほど命はすり減ってくもんだ。年季明けの前に逝っちまうなんてこともザラさ」「今お前にできるのは、何もしないってことだけだ」と伝えます。

蔦重は半左衛門をにらみつけるも、何も言い返すことができないまま、その場を去っていくのでした。