こんなに嫉妬深い人間が他にいるだろうか
ああ、悔しい、ああ、妬ましい! 私ももっと認められたい。注目されたい。彼女に負けたくない。
込み上げてきたそれは、昔からいつだって私を悩ませ続けている感情、―嫉妬だ。
私は嫉妬に取り憑かれている。朝起きて一番最初にすることが、SNSを見て誰かに嫉妬をすることだなんて我ながら情けなすぎる。もういい大人なんだから、できればこちらだって朝日を見て瞑想するとか、白湯を飲むとかして、もっと素敵な朝を迎えたい。
こんなに嫉妬深い人間が他にいるだろうか? 私はなぜこんなに性格が悪いのだろうか? 頑張って努力して新刊を出す彼女を、なぜ素直に応援してあげられないのだろうか?
これまで私は嫉妬のせいでどれほど失敗してきたことか。
貧乏な家庭で生まれ育ったため、周りの子どもたちがお小遣いをもらったり、いろんな習い事をしていたり、新しいオモチャをたくさん持っていたりするのが羨ましかった。強欲な私は欲しいものを手にいれるために卑怯な嘘をついたり、校則違反をして友達からお金を稼いだりして、何度も先生や大人たちにこっぴどく𠮟られた。
好きな人ができれば、それはもうありとあらゆる種類の嫉妬をした。好きな人と楽しそうに話している女がいれば、そいつの髪を仕込んだ藁人形に五寸釘を打ち込んで呪うことまで考えたし、恋が実ってひとたび恋人となれば今度は浮気されないかいつも不安で、相手を24時間365日メールやLINEで束縛しまくってきた。もちろん「おまえ重すぎるから無理」と数々の男たちにフラれてきた。
社会人になればどの職場でも、仕事で自分の能力を認められたい、ライバルには絶対に負けたくないと思っていた。営業成績が足りずに焦るあまりルール違反までして数字をのばしたことや、上司に媚を売って良い評価を得ようとすることもあった。当然、同僚には嫌われ、なんだかいつも浮いていた。