嫉妬についてもっと知りたい
どうして人間は嫉妬をするのだろうか? 時には、不安、怒り、悲しみ、憎しみなどと混ざってとても激しい感情となり、危険な行動に至ってしまうケースもある。そこまで嫉妬が肥大化しないように、自分で抑えるにはどうしたら良いのだろうか? 逆に、あまり嫉妬をしないような人はいるのだろうか? 何に対しても嫉妬をしないとしたら、一体どんな生活になるのだろうか?
考えれば考えるほど、興味が湧いてくる。
物語や芸術の世界でも、嫉妬をテーマにした作品は数多く存在する。ギリシャ神話にも、日本神話にも、神たちの嫉妬によるストーリーは少なくない。旧約聖書の『創世記』では、アダムとイブの長男であるカインが弟のアベルに嫉妬して殺してしまう。夏目漱石の『こころ』や『行人』では人間の嫉妬する心情がとても生々しく丁寧に描かれている。100年以上も昔の人の話なのに、「私」に猛烈に共感できて「わかる!」と嬉しくなってしまう。なんだよ。みんなも好きなんじゃん、嫉妬のこと。
そもそも人間の、他より多く欲しい、もっと楽をしたいという欲望や嫉妬の気持ちがあったからここまで文明が発達したのではないだろうか? 世界史や日本史を見ても、嫉妬によって紛争や革命が起き、国が動いたといってもいいのではないだろうか?
嫉妬は人間が生きるにはなくてはならない感情なのではないだろうか? 嫉妬が人間を突き動かしているのではないだろうか? そして嫉妬こそが人間を人間らしくする、愛すべき感情なのではないだろうか?
ああ、嫉妬についてもっと知りたい。自分の嫉妬という感情にもっと向き合いたい。もしかしたら私はもう嫉妬を取り除きたいなんて本心では思っていないのかもしれない。もはや、嫉妬を好きになり始めているのかもしれない。
というわけで、これからこの並々ならぬ「嫉妬」に対する愛と憎しみについて少しずつ書きとめていきたい。
あわよくば、嫉妬をうまく自分の原動力にしつつ、もう少しばかり扱い易くなると良いのだが……。
とりあえず今朝は一旦、グラグラする嫉妬心をグッと飲み込み、ライバルの彼女が新刊のお知らせをする投稿にそっと「いいね」を押し「すごい! おめでとうございます! 読むのが本当に楽しみです!」とコメントをして、惨めな気持ちと一緒にそっとスマホを閉じた。