積極的に生きていく(写真提供:Photo AC)
「60歳の壁を超えると、女性は元気になり、男性は萎んでいく」。女80歳、もう年だからと自分を抑えるのではなく「あれもしたい、これもしたい」と積極的に生きてみませんか。ベストセラー『80歳の壁』の著者である高齢者専門の精神科医・和田秀樹さんによると、夫や子ども、世間体からやっと自由になれる高齢期こそ、女性の幸せのピーク《幸齢期》だと言います。最新作『女80歳の壁』より、楽しく壁を乗り越える秘訣を紹介します。

毎日を/生き切った/先の大往生

私は患者さんにも、次のように言ってきました。

「年をとっても、ファッショナブルに生きましょうね」「推し活も、ホストクラブもどんどんやればいいんです」「シャネルもグッチも幸齢女子が持つことで価値が出る」

「もう年だから、あれをしちゃダメ」と自分を抑えるのではなく、「もう年だから、あれもしたい、これもしたい」と積極的に生きたらいいのです。

大往生という言葉から、みなさんはどんな様子を連想しますか?苦しまずに眠るように、安らかに死んでいくことでしょうか。

病死や事故ではなく、老衰によって死を迎えることでしょうか。そもそも、みなさんは大往生がしたいでしょうか?

日本人の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳です(2022年、厚生労働省調べ)。ところが、日本人の健康寿命はこれよりずっと低く、男性は72.68歳、女性は75.38歳です。

つまり、男性はおよそ9年間、女性は12年間を「不健康」な状態で生きている、というイメージが定着しています。

多くの人が大往生を望むのは、この「不健康寿命」を意識してのことかもしれませんね。

ではどうしたら、大往生ができるのでしょう。「大往生の薬」なるものがあればいいのですが、残念ながらありません。

でも「大往生の秘訣」はあります。それは「老いを受け入れる」ということです。「もう年だ」と自覚したうえで、「だから**するんだ」と積極的に生きていく。

そうやって、日一日と重ねた先に大往生があるのだと思います。