落語「五人廻し」

落語に「五人廻し」という演目があります。

大引けを迎えたのに、「ちょっと待っててね」と言って部屋を出た喜瀬川さんが帰って来ない。なんだ、どうした、と文句を言う男が4人。彼らはそれぞれに「おいらんが来ないぞ」と男衆にクレームを入れる。落語家さんは4人を演じ分けるのですから、そりゃあたいへんです。

弱り切った男衆が探すと、喜瀬川さんは田舎のお大尽を相手にイチャイチャしている。「困りますよ、おいらん。お客様からクレームの嵐で」と訴えると、お大尽が「それじゃあ、玉(ぎょく。遊女と遊ぶための代金)は俺が負担するから、4人にはそれを持って帰ってもらえ」と解決策を提示します。

1人50銭、計2円のおカネをもって男衆が退場すると、喜瀬川さんがお大尽に「私にも50銭くださいな」とおねだりする。

「じゃあ、ほら、50銭。でも何のために?」とお大尽が聞くと、喜瀬川さん「この玉をあなたに差し上げますから、あなたも4人さんと一緒に、帰っておくんなまし」。これが落ち。