高級遊女は「お客一人」と大引けの後に枕を重ねる

この落語は史実ではありません。たとえば「おいらん」という呼称は、時代とともにどのランクの遊女を指すかが変わっているらしい。まあ、ざっくり言うと、高級遊女をそう呼ぶことに違いは無いようですが。

でも、落語家さんたちはみな、そこまでの高級遊女をイメージせずに話を進めている感じです。そのあたりに齟齬はあるもの、この話からは、いくつかの遊び方の基本を見ることができるかもしれない。

大きな一つとしては、高級遊女は基本的に「お客一人」と大引けの後に枕を重ねるのであって、朝までは一緒に過ごす、ということ。

からすカアで夜が明けると、客はだんな気取りで別れを惜しみ、「また必ず来るからね」と家路につく。衣紋坂と五十間道を通り、名所の見返り柳のあたりにさしかかると、彼は思わず振り返る。

それで「柳ちる 今朝の出口の わかれ際」という川柳が成立するし、遊女が来なかった客は「見かぎりの 柳とわびる(がっかりする 落胆する)朝帰り」ということになります。