遊郭から鳴り響いた太鼓の音

かくして完成した錦絵『青楼美人合姿鏡』。

本を瀬川へと直接手渡しつつ、蔦重が吉原への想い、そして自らの夢を告げたところで、場面はいよいよ瀬川・最後の花魁道中へ。

詰めかけた大群衆を前に、白無垢の花嫁衣装をまとい、花魁道中を行う瀬川。その先には蔦重の姿が。

「八文字」の下駄ずれの音だけが聞こえる静寂の中、歩を進めていく瀬川。

蔦重と目を合わせることなく吉原の大門までくると「おさらばえ」と告げて、そのまま迎えに来た鳥山検校の駕籠に乗り込みます。

その様子を振り向くこともなく、通りの真ん中でどっしりと構えたままの蔦重。突然「トウザイ、トウザイ、ご注目!」と集まった群衆に向けて大きな声を張り上げます。

するとその声に合わせるように、遊郭のなかから「ドドン!」と太鼓の音が…。