『人生、上出来 増補版 心底惚れた』より

価値観の違う人と暮らすのは難しい

それに会うのは1年に一回か二回くらいですからね。毎日一緒になんかいられないわよ。いられないから別居したんだもの。

結局のところ、たまに会うっていうのが私たちにふさわしい距離感なのね。半年に一度なら話したいことも溜まってるし。たいがい私は聞き役で、内田がずーっと喋ってるんだけど。

家を新築したとき、夫の部屋も用意したんです。一応、表向きは「いつでもお帰りください」とは言ってるけど、戻れずにいますね。

まず荷物の分量が違うんですよ。一緒に暮らしてた頃から、内田の荷物はすごい量だった。私が「また買ってきたの?」って咎めると、「これ、安かったんだ」とか言い訳するんだけど。値段じゃないのよ、物が増えるのが嫌なんだから、私は。

近年も映画の賞なんかもらうと素直に嬉しいんだけど、トロフィーは全部関係者にあげちゃうの。そんなだから……。生理的に嫌な相手でなくても、価値観の違う人と暮らすのは難しいんですよ。