なぜこんなにいろいろ種類があるのだろう。たとえば日中用美容液と夜用美容液。美白美容液に薬用美容液。ジェル状美容液と保湿美容液……。
クリームもしかり。デイクリームとナイトクリームと目元用クリームと下地クリームと保湿クリームと薬用クリームとシワ取りクリームとシミ取りクリームと、ただのクリーム、なんのクリーム?
際限がない。どれをいつ、どう塗れば、どれほど効くのか効かぬのか、わからない。
そもそもどうしてこんなに溜まったか。購入し、あるいは人様からいただいたからである。使い始めた当初はたしかにルンルン気分だった。ところが時間が経つにつれ、なんとも思わなくなっていくのである。
化粧品は恋愛に似ている。毎日使ううち、出合った頃の興奮が冷めていく。かぐわしい香り、柔らかな肌触り。そっと触れるだけであれほど歓喜の声を上げていたのに、あの感動はどこへ行った。その存在が当たり前のものと化していく。慣れてしまう。鮮度が失せる。そしていつしか私は、はたしてこのままでシアワセになれるのだろうかとかすかな疑問を抱き始めるのだ。