そのうち、新しい男、ではなくてクリームとも案の定、倦怠期が訪れる。このままで私はシアワセになれるのかしら……。

そんなとき、長らく放置していた瓶がふと目に留まる。蓋を開け、使いかけであったことを思い出す。鼻に近づけて香りを嗅ぐ。あら、いい匂いじゃないの。今日からこっちに戻そうかしら。

そんな日が訪れることを私は知っている。だからますます捨てられない。こうして私の洗面台にはひたすら化粧品が増えていく。

でもここで話を戻すと、美容液もクリームも種類がありすぎる。手に入れた当初はその化粧品にどういう効能があり、どう使えばいいのかをちゃんと理解していたつもりだったが、なにせ年月が経ったのちのこと。これがなにに効果があったのか忘れてしまっている。

瓶の裏にはそれなりの文字が記されている。でも字がまことに小さい。老眼鏡を持ってくればいいのだが、面倒くさい。

だいたい保湿クリームと美白美容液とアイクリームとの間に、どれほどの成分の差があるのだろう。わからない。だから手にしたクリームをなんでもいいから顔全体に塗り込む。

もちろん顔の皮膚が繊細であることは多少理解しているが、目元と口まわりと、あるいは頭皮と顔面と、あるいは首と腕に、どれぐらいの違いがあるというのだ。

そういうことを言うと、友人ないし美容専門家の皆様にお叱りを受けるのだけれど、私はおおよそ無頓着である。もはやそれが日中用であろうと夜用であろうとかまわない。合わなければやめるだけのことだ。