女性医師の半数が「常勤職退職経験あり」

外科系など比較的忙しい臨床科に就職していた女性医師が、出産・育児などを契機により時間のとりやすい臨床科に転科するという話も医者の世界ではよく目にする事例です。

実際に、2007年に711名の女性医師を対象に行われた調査では、全体の55%が常勤職を退職した経験があり、そのうち90%が医学部卒業後10年以内に退職していること、退職理由は「仕事と出産・子育ての両立の難しさ」(45%)、次いで「体調不良」(12%)、「長時間労働」(8%)の順に多かったことが報告されています※2。

『現代日本の医療問題』 (著:木下翔太郎/星海社新書)

この調査では、特に注目すべき結果として、その退職者のうち、正規雇用として復帰できたのは33%しかいなかったとされていることです。つまり、女性医師の約3人に2人は、医学部卒業後10年以内に、出産・育児などのライフイベントや長時間労働などを理由に退職せざるを得なくなり、そのまま復帰できない、ということになります。

この調査は2つの私立大学を対象にした調査でしたが、他の大学・病院でも、割合は多少異なるかもしれませんが、若手女性医師が継続して就労し続けるのが難しいという状況は同じだったと考えます。