「ちょっと後悔したのは……」
―この作品では綿密なプロットメモを作り、結末も決めてから連載を始めた。
他の作品では、何も決めずに描き出しちゃうことが多いんです。やったとしても、全体を三行のメモでまとめる程度でした。ここまできちんと設計図を引いたのは「漂流教室」だけです。特に理由はないんだけど、新しいことを試したかったんだと思います。
―この「漂流教室 創作ノート」は、小学館の「楳図パーフェクション!」版「14歳」(全4巻)の購入者特典として復刻された。普通のノートに手書き文字で、連載各回のプロットが詳細に書かれている。シーン細部に多少の違いはあるが、プロットはラストまで完成作品とほぼ同じ。連載前から明確なイメージができていたことを示している。
ちょっと後悔したのは、クラス全員の顔も設定しておけばよかったなって。そこまではやってなかったですね。「柳瀬君」っていう子が出てくるんですけど、本当は「梁瀬君」だった。実は五條市で僕がかかっていた医師の梁瀬義亮(やなせぎりょう)先生から取ったんですね。