草むしりができなくなっても
最初に撮影したのは、哲代さんが101歳の時。家から畑に続く坂道を、草むしりをしながら歩く場面でした。
溝に生えた雑草を腰をかがめて抜いていく哲代さんに、「なぜ、毎日草を抜いて歩くんですか?」と訊くと、「ふう(世間体)が悪いけぇな」とおっしゃいます。
若い頃、姑さんに言われて始めたんだそう。これは哲代さんにとって、亡きお姑さんとの対話であり、家を守る行為なのだと気づかされました。
20年前に夫を亡くされて以来ひとり暮らしを続けている哲代さんのもとには、親戚や近所の方々がしょっちゅう訪ねてきます。近くに住む姪御さんたちは生活面のサポートでほぼ毎日、そのほか哲代さんとお喋りをしにくる近所の人も少なくありません。
常に「ありがとう」とお礼を忘れず、なんでも「おいしい、おいしい」と、気持ちのいい食べっぷりを見せます。