「微量の多成分の集合体」であることが漢方薬の特徴
例えば「芍薬甘草湯」という漢方薬は、その名前が示すとおり、芍薬と甘草という二つの生薬で構成されています。たった二つの生薬にもかかわらず、その中には約3000種類の成分が含まれていることがわかっています。これを明らかにしたのは、英国オックスフォード大学のデニス・ノーブル名誉教授です。
ノーブル名誉教授は心筋電気生理学の世界的権威ですが、ある時期から西洋医学に限界を感じ、東洋医学の中でも特に日本の漢方薬に注目して、最新の技術を使って芍薬甘草湯の成分の数を算出したのです。
わずか二つの生薬で構成されている漢方薬の中に約3000種類もの微量成分が存在するということは、一般的な漢方薬に含まれる成分は最低でも数千種類、多いものでは1万種類をゆうに超えると考えられます。
実はこうした「微量の多成分」で構成されていることが、漢方薬の最大の特徴であり、漢方薬特有の効果を生み出す原動力となっています。