新薬・漢方薬を問わず、そもそも薬には……

漢方薬に含まれる一つひとつの成分はごく微量です。そのため、個々の成分には現代薬理学で言うところのクスリとしての作用はないと考えられます。

ところが、クスリとしての働きのない微量成分が、ひとたび数千種類、数万種類と集まって混ぜ合わさると、さまざまな病気や病態に対して大きな効果を発揮する。これが新薬とまったく異なる漢方薬ならではの特性です。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

西洋医学的な思考から離れられない人にとっては納得しがたい話でしょう。薬に含まれているどの成分が、体の中でどのように作用するのかを明らかにするのが現代薬理学だからです。私も最初は不思議でなりませんでした。

しかし、患者さんの診療を長く続けるうちに、新薬・漢方薬を問わず、そもそも薬には病気を直接的に治す力などないのではないかと考えるようになりました。