西洋医学も体の「治す力」に注目しはじめた

体が薬に反応して治す力が引き出されるという考え方は、決して突拍子もない発想ではありません。西洋医学でも近年は、体の“治す力”に注目しています。最新のがんの治療薬(免疫チェックポイント阻害薬)であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、そうした視点から開発された薬です。

従来の抗がん剤は、がん細胞を直接攻撃するタイプのものが主流でした。そうした抗がん剤は、がん細胞を死滅させる力は強いものの、周囲の健康な細胞まで弱らせたり死滅させたりしてしまいます。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

そこには免疫に関わる細胞も含まれるため、体の「治す力」まで衰えさせてしまうことが難点で、よほど体の「治す力」が強い人でないと、がんで亡くなる前に抗がん剤の副作用で命を落とすケースも出てきます。

一方、オプジーボは、従来の抗がん剤のようにがん細胞を直接攻撃するのではなく、私たちの体に備わった「治す力」、すなわちがんに対する免疫力を高めることによってがんの排除を促すタイプの薬です。