ところが、この話には後日談があって。しばらくしてから、「あの骨な、うちにあると怖(こえ)えんだ」と父から電話がかかってきたんです(笑)。仕方ないので私が引き取りに行ったのですが、その後すぐに父も亡くなってしまった。
実は、母が亡くなる前に私は、「あんなめちゃくちゃなお父さんを残されても、私はどうしていいかわからない」と泣きついたことがあったんです。そうしたら、「大丈夫。私が絶対に連れて行くから」って。本当にその通りになったので、やっぱり母は恐ろしい人なんですよ。(笑)
そんな型破りの両親のもとに育ち、父にも母にも甘えられなかった私は、結婚したら今度こそ夫に甘えられると思っていました。ところが、夫も「家族とも誰とも群れたくない」という人だったんです。おかげで、結婚当初はかなり気持ちが砕けました(笑)。けれど、「人は一人で生まれて、一人で死んでいく」という母の言葉を思い出し、夫婦といえども、それぞれがわが道を行き、時折足を止めて、「ああ、そこにいたね」と思えればいいと吹っ切れてからはラクになった。
でもね、今でも時折、私のなかの子どもの部分が「甘えたい!」とムズムズと動き出すんです。「一人にしておいてほしい」という夫に近寄りすぎて、夫婦喧嘩が勃発する(笑)。家族のためにお金を稼いできてくれて、子育てにも協力的な夫には、本当に感謝しています。それでも、私の”インナーチャイルド”が安心して過ごせる日は永遠にやってこないのかもしれません。