「見立て」は言語の壁を越えて
――昨年は、シンガポールや韓国などでも展覧会を開催。海外のお客さんの反応はいかがでしたか。
日本と一緒ですね。説明のいらない写真だからこそ、同じ反応になるのだと思います。同じ人間同士、共通する部分を表現したいと思っているので、同じ反応なのはむしろいい。タイトルの言葉遊びの部分は伝わらないですけど。(笑)
作品のモチーフ選びは、世界共通であることを意識しています。ハサミはどの国でもこの形だなとか、トイレの色って大体白いなとか。そういうところからアイデアを考えたりしますよ。世界中で寿司やハンバーガーを食べられる時代ですから、知らない、通じないということはあまりないと思います。
キャラクターを扱うときは、たとえば『スター・ウォーズ』を見たことがない人でも、光る剣を振り回すことくらいは知っているでしょう、みたいに考えて作品を作ります。たまに、本当に自分が好きな、マニアックなモチーフを選ぶこともありますけどね。
――田中さんの作品は、老若男女を問わず愛されています。意識していることはありますか。
ターゲットの年齢層は特に決めていませんし、流行りっぽいことはやめようと思っています。SNSで作品を発表するだけでなく、絵本を出版したり、今回のように雑誌に連載したりするのも同じ理由です。有名な絵画や絵本のように長く愛していただける作品になったら嬉しいと考えています。
作品は、あまり暗くならないようにしていて。タイトルもダジャレのような言葉遊びが多いので、インスタのコメント欄が大喜利のようになっているんです。それを楽しみにしてくださる方もいますね。基本的に皆さんの家にあるものを使っているので、作品を思い出してちょっと楽しい気分になってもらえたらと思っています。