「日常的に何かないかなと探して、思いついたらスマートフォンにメモしているのですが、形にするのが追いつかないくらいです。子どもたちもたまにアイデアをくれますよ」(写真提供:田中さん)
ブロッコリーは木に、メガネを自転車に……。見慣れた日用品や食材を何かに見立てて、ユーモアのある写真に仕上げる田中達也さん。その作風はどのように生まれたのでしょうか。作品の原点と田中さんの制作への思いに迫ります(構成:藤栩典子)

前編よりつづく

続けるうちに自分の道ができた

――2013年に、初の写真集『MINIATURE LIFE』を出版。国内外で展覧会や個展を開催し、2015年に勤めていたデザイン会社を退社し独立され、2017年にはNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックを制作することになりました。数年で環境が大きく変化しましたが、望んでいたことなのでしょうか。

最初から大きい展示をやりたいと目標があったわけではないですし、朝ドラに採用されたいなんて考えていませんでした。まだデザイナーの仕事がメインでしたから。

ただ「ミニチュアカレンダー」を続けるうちに、ミニチュア撮影の仕事依頼が来るようになり、いつの間にか、会社の給料よりもミニチュア撮影の収入のほうが多くなっていたんですよね。

ちょうどその頃は子どもが生まれて、子育てが忙しかった時期でもありました。妻は職業柄、急に休むのは難しかったこともあり、僕が独立したほうがいいかなと考え、相談したらすぐに賛成してくれたんです。

 

――14年間、1日も休まずインスタへの作品投稿を続けています。アイデアが枯渇することはないのでしょうか。

今の考え方だと、アイデアはなくならないと思います。日常的に何かないかなと探して、思いついたらスマートフォンにメモしているのですが、形にするのが追いつかないくらいです。子どもたちもたまにアイデアをくれますよ。

午前中と夜は、作品を作る時間。展覧会などで出張するときは作品を撮り溜めしておいて、毎日の投稿を続けています。ですから「ミニチュアカレンダー」を続けるにあたって、一番大切なのは健康でいることですね。