noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第5回は「フォロワー数嫉妬地獄」です
フォロワー1000人の大台に乗せたくて
まだXがTwitterだったころ。フォロワーが900人くらいだった私はどうしても1000人の大台に乗せたいと思い、怪しいサイトからフォロワーを買った。
「外国人フォロワー100人」という商品をカゴに入れポチッと購入すると「ご注文ありがとうございます。24時間以内に徐々に増加します」と表示された。
フォロワー購入がバレるとアカウントが凍結されるらしいと聞いていた私はドキドキしながら増えるのを待った。すると、徐々にと書かれていたのに数分すると一気に増えた。
「うわ、まじで増えてる! やばいやばいやばい!」
増えたフォロワーを見ると、ほぼ全員がどう発音していいかわからないアルファベットの名前にアニメキャラのアイコンだった。
数十分のうちにあっという間に1000人に到達した。こんなに短期間で大量に増え、どうみても日本人じゃないインチキくさいアカウントがずらりと並んでいるなんて、一発で買ったことがバレる! 「こいつフォロワー買ったな。クスクス」と蔑まれてSNS人生は終わりだ。もうこのアカウントを削除するしかない。
そう思っていたところ、一瞬到達した1000というフォロワー数がポロリポロリと減っていった。あれ、どんどん減ってる? 3日もすると怪しいアカウントは全員消え、元の900人に戻ってしまった。なんだこれ、詐欺じゃないか! 返してよ、私の100人と胸のドキドキを!
アカウントを捨てようかと思うほど後悔していたくせに、夢の1000人という数字が一瞬で終わったことをまた悔しく思った。1000人にさえなれば、もっと注目されて世間に認められるのに。