そんな体も心も身動きできない状態の人に、どうやって断捨離を進めていただくのか。モノを溜め込みすぎた人のなかには、断捨離に踏み出すのが「怖い」という方もいらっしゃいます。モノの洪水に溺れて何もできない状態ですから、レスキューが必要だと思いました。

レスキュー隊としての私の役割は、まずその方の「視点」の変化を促すこと。「断捨離=捨てる」というイメージを強くお持ちの方だと、「これを全部捨てるのは絶対に無理だ」とあきらめがちです。

そこで断捨離を体にたとえて、「私たちは食物を体に取り入れて生きていますよね。でも入れるばかりじゃなく、出すことも必要。出さないから詰まっておかしくなるんですよ」とお伝えすると、すんなりとわかっていただけるのです。

さらに質問という形で確認させていただきます。「それは大事なモノなんですね?」と聞くと、「そういわれれば、そうでもない」と答える人はけっこういらっしゃる(笑)。つまり質問されたことで、止まっていた思考や鈍った感性が動き出して、取捨選択ができるようになるわけです。

具体的な方法として、番組でも取り入れているのが、一点突破。引き出し1つからでいいので、まず入っているモノを細かく《分解》します。そうして平面に並べ替えると、俯瞰して眺めることができる。

すると「こんなにモノが詰まっていた」ということが自覚できるし、いる・いらないと《分別》しやすくなります。そうして分解と分別を3回ほど繰り返せば、自分が本当に好きで心地いいモノだけが残っていく。

引き出し1つでも空間の余地ができると、思考にもゆとりが生まれます。それが自分自身を俯瞰することにつながり、片づけを「自分ごと」として実感できるようになっていくのです。

後編につづく

「断捨離(R)」はやましたひでこさん個人の登録商標です