「俺のために生きてくれ」

その後、耕書堂の中で、歌麿を助けることで救われるのは、実は自分であるということを語った蔦重。歌麿を正面から見つめ直すと

「歌麿、あの時の約束守らせてくれ」

と伝えます。

それから、ずいっと歌麿の前まで身を寄せた蔦重。歌麿の顔をじっと見つめると

「お前を当代一の絵師にする。だから死ぬな。俺のために生きてくれ」

とその頭にそっと手を乗せながら告げます。

すると、その目からこぼれそうになる涙を我慢しながら

「義弟(おとうと)が…義兄(にい)さんが言うことに逆らう訳にゃいきませんね!」

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

と笑顔で答えた歌麿。その顔を見つめる蔦重はあらためて満面の笑みを見せるのでした。