運が巡るときのために

タイトルの『しあわせは食べて寝て待て』の意味は第2回に鈴がぼんやりと暗示していた。

「果報は寝て待てって言うでしょ? だから運が巡ってくるときのために、少しでも元気になっていないとね」

いい条件が分からないのと同じく、幸せになるための処方箋もない。なるべく元気でいるしかないのだろう。

原作は水凪トリ氏による同名人気漫画だが、ドラマはメインライターである桑原亮子氏の脚本が抜群に光る。誰かが傷つきそうなセリフを極端なまでに排除し、隅々にまで心優しい言葉を並べている。

秀逸な脚本を桜井、加賀、田畑らが演じているのは贅沢なこと。3人はいずれも制作者から極めて高い評価を受けている。

四季を丁寧に描く演出も凝っている。物語は冬に始まり、春夏秋冬と過ぎ、第7回では再び桜咲く春となった。

文:放送コラムニスト 高堀冬彦