着物の力を借りて

――『あんぱん』の登場人物には、アンパンマンのキャラクターを当てはめていることを脚本の中園ミホさんが明かしている。蘭子の衣装はロールパンナちゃんのイメージだ。

朝田三姉妹は、のぶはドキンちゃん、蘭子はロールパンナちゃん、メイコはメロンパンナちゃんというアンパンマンの登場人物のカラーで衣装が選ばれています。蘭子は一貫して青を着ていて、見てくれる方にそれぞれの役のイメージが残っていくのが素敵ですよね。

(『あんぱん』/(c)NHK)

物語は昭和初期から描かれ、蘭子の服装も着物から始まります。所作指導の先生もいらっしゃいますが、違う時代を生きる人物を演じる難しさも感じています。

完成した映像を見ると「自分は現代人の体の使い方をしている」と思うこともあります。ただ、着物の力に助けられることが大きくて、裾を直す仕草や袖の扱いなど着物を着ていると自然に出る仕草や姿勢があることを初めて知りました。またこの後、ドラマの時代が進んで着物からもんぺ、洋服へと変化していくことが、年代を重ねるお芝居をする上ですごく助けになっていくと思っています。

10代の蘭子から演じていますが、台本を読んだときに浮かんでくるいでたちや佇まいからヒントを得ています。具体的にこの人は何歳から何歳までこう過ごしたなど「履歴書のように作っていく」というより、抽象的なところから膨らませていく感じです。