必要なのは「想像力」
私が医師として働きはじめてから20年以上が経ちますが、目の前の方がなにを望んで来られたかを推測してみることを今も大事にしています。たとえば、かゆいと訴えて来られた方が、かゆみをどうにかしたくて来たのか、かゆみの原因が知りたくて来たのか、問題ないことを確認したくて来たのか。
あくまでその方がなにを望んでいるのかを正しく把握しないかぎり、ご本人が満足してお帰りになることはありません。患者さんが望んでいることは、人それぞれ異なるから。
これは、医療職だけではなく、どんな「人対人」のコミュニケーションにも当てはまると考えています。ヨガのクラスに来られるお客さんが、なぜ自分のクラスに来てくれるんだろうと一度考えてみる。言葉を交わさないまでもどんなときにその方の笑顔が見られるかを観察するだけでも、その方が望んでいることは想像できるんじゃないかと思うんです。
必要なのは、「想像力」。それが思いやりや優しさを生みます。仕事はもちろん、もっと小さなコミュニティ、たとえば家族に対しても生かすことができると思っています。