西洋医学だけでは埋められない悩み
西洋医学を担っている私にとって、感じ続けてきた課題があります。それは、患者さんには西洋医学だけでは埋められない悩みがあるということ。私のイメージはこんな感じです。来られる患者さんが抱えている悩みを「長方形」で表したとき、この長方形をどうすれば埋められるか。
私は大学病院ではがんを診るチームにいて、大学院では卵巣がんを専門にしてきたわけですが、手術などの治療を行えば、この長方形にドーンと大きく丸を描く感じで、真ん中の大部分は埋められる、つまり、もっとも困っている状態は解消できるでしょう。でも、長方形の端っこに残ってしまう埋めきれていない部分を埋めるのは、西洋医学の医者にとっては非常に不得意な分野ともいえます。
私は好きでヨガを続けていますが、ヨガがこの長方形の端っこを埋める小さな丸の一つになればいいなという思いをもっています。この端っこを埋めるためにできることはないかと考えるとき、しばしばヨガからアイデアをもらいます。そして患者さんに提案してみると非常に喜ばれることも。大きな病気を経験された方が前向きに生き、QOL(生活の質)を高めるためには、必要な提案じゃないかと思っています。
私は今、分娩や大きな手術はしない現場で医師を続けていますが、その方の人生がよくなるためにできることはなにかを常に考えて取り組んでいきたいと思っています。
※本稿は、『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(著:高尾美穂/扶桑社)
NHK「あさイチ」などのTV出演でもおなじみ産婦人科医・高尾先生が贈る、あなたを前向きにする言葉集。
いつもお守りのように手元に置いておいて、悩んだとき迷ったときに開いてみてください。
きっと目の前がぱっと開けてくるはずです。