友達を作ってあげたいのに

夫は毎日深夜まで仕事で私のワンオペ。初めての育児は想像と違った。授乳間隔が数十分しかなかったり何時間もずっと寝てくれなかったり、全く育児本どおりにいかない。小さくて柔くてすぐ壊れてしまいそうなくせに、ものすごいエネルギーの塊のようでもある新生児は、未知の生き物みたいで怖かった。今日一日なんとかこの生き物を死なせないように、という日々の繰り返しだった。

彼が寝ている間に忍者のような忍び足で家の中のことをする毎日。今日が何曜日かもわからないまま、誰とも話さないで一日が終わる日もあった。

あの頃、24時間授乳クッションと共に過ごしていた…

孤独でたまらなかった。世界から隔離されているような気がした。「大人と話したい」ドラマの詩穂のセリフを何度つぶやいたことか。

しばらくして長男が歩けるようになると「ママ友を作ろう。長男にも他の人間と接する機会を与えなくては」と思い地域の支援センターに行ってみたが、そこには既にママ友の輪が出来ていた。コミュ障なうえ、久しく大人と喋っていない私が自分から輪に入ることなんて出来なかった。どうしていいかわからないまま、そこまで楽しそうでもない長男をじっと見つめるしかない時間は苦痛だった。

そんな私を憐れんで「何カ月ですか?」と話しかけてくれる優しい人もいたけれど「千載一遇のチャンスを逃すまい。楽しい人だと思われたい!」とつい空回りして「(私は)350カ月くらいです!」と答えてドンすべりし、恥ずかしくて二度と行けなくなった。

公園でも同じ。月齢の近い子とママたちが砂場にいると、長男には距離をとって遊ばせて「仲間に入れてとか思ってませんよ。一人が好きなタイプなのでお気になさらず」オーラを、聞かれてもいないのに出しまくっていた。

本当は長男に友達を作ってあげたいのに。二人きりになると「こんなママでごめん」といつも謝っていた。

幼児を機嫌よく遊ばせるって、簡単じゃない