お手洗いにもゆっくりいけない日々だった

私のようになってしまったら…

長男は私のせいで友達が出来ない、この子も私みたいになってしまう……と思うと情けなくて申し訳なかった。買い物へ行ってもカフェへ行ってもママ友同士で楽しそうに話しているのを見ると、子どもに友達を作ってあげられて、親同士で息抜きもできていいですね! と羨ましくて目を背けていた。

惨めな気持ちを自虐ネタにし、ネットの子育てブログに書き殴った。子育てブログのランキングで上位に入ることで承認欲求を満たし、現実の寂しさと虚しさから目をそらし続けた。

夫の起業はなかなかスムーズにいかなかった。「抱えている仕事が片付くまで。引き継ぎが整うまで」などと退職が遅くなり、無事に開業する頃には長男が2歳に、お腹には次男がいた。結局、長男と次男が幼稚園に入るまでの数年間、私はこの世で子どもたちと3人きりだった。

何だか本人はわからないと思うけど、鯉のぼりを見せてみた

復職し、てんてこまいになりながら全てを両立している母親こそが「頑張っている」母親で、専業主婦なんてサボっているだけだと思われていそうでいつも引け目を感じていたし、毎日何も生産せずに消費だけしている罪悪感に押しつぶされそうだった。

うまく母親もできず、社会人としてのアイデンティティも無く、人間としてダメだと言われている気がした。

子どもたちが幼稚園に通いはじめ、ようやく開業できた夫の会社で仕事をするようになると徐々に自分を取り戻していけた。子どもたちは親の心配をよそにどんどん友達を作り、私とは反対の明るい子に育った。

「自分の選んだ道を間違っていたと思いたくない」詩穂のセリフに頷きっぱなしだ。

家族のためにもこの道でよかったんだと思いたいけれど、夫の起業を待たずに他の就職先を探さない自分は、本当は甘えているだけなんじゃないか、心の底で「楽ができてラッキー」と思っているんじゃないかといつもモヤモヤしていた。