noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第6回は「(ドラマ『対岸の家事』を観て思う)子育て格差地獄」です
毎回心を揺さぶられているドラマ
TBSの火曜ドラマ『対岸の家事』を観ている。
主人公の「詩穂」(多部未華子)は2歳の娘を育てる専業主婦。マンションのお隣の「礼子」(江口のりこ)は2児を抱える多忙なワーキングマザー。近所の公園で出会ったパパ友「中谷さん」(ディーン・フジオカ)は育休をとって1歳の娘を育てるエリート官僚。立場や価値観の違う全員がそれぞれの育児と家事に奮闘するドラマだ。
多部未華子はかわいすぎるし、ディーン・フジオカみたいなパパが公園にいたら毎日ママたちの行列ができるだろ、とは思うけれど、子育て中のモヤっとする心情の描き方がリアルで、自分が子育てをしていた時期を思い出しては毎回心を揺さぶられている。
詩穂は、中学生の頃に専業主婦だった母を亡くした。父と二人暮らしになった後は家事を一人で担い、高校卒業後は美容師として働いていたが、顧客だった居酒屋の店長の虎朗と結婚。「2つのことはできない」とすすんで家庭に入った。
実は私も、子どもが幼稚園に上がるまでは専業主婦だった。契約社員として勤めていた会社は、長男を妊娠中に契約満了となり退社した。ちょうどその頃、夫は勤めていた看板制作会社から独立して起業する準備をしていた。開業後に夫の会社で働く予定だった私は、5月に生まれた長男を翌年4月から保育園に入れて働きに出られたらちょうどいいなと思っていた。ところが、思い通りにはいかなかった。

ベビーカーに乗せていても、どうなってるのか気になる…