「セツコさんみたいな先輩がいらっしゃると、本当に励みになります。こんなふうに、軽やかに生きたいな」(柴田さん)

心に宝物さえあれば孤独は怖くない

柴田 もしこの先、今ほど外出ができなくなっても、きっとセツコさんの頭の中には広い世界があるから、楽しいんじゃないですか? 実際に生活している世界より、想像の世界のほうが、ずっと大きいでしょう。

田村 すごーい、分析の仕方が博士みたい! そうだったら素敵ね。思い出がいっぱいあるから、歳を重ねることは決して悲しいことではないと思うの。今、絵本とかいろいろなアイデアを考えていて。『お墓のなかからボンジュール』なんてどう?

柴田 アハハハハ。いいですね。

田村 自分が生きているのか死んでいるのか、よくわからない人が主人公。認知症もそんな感じかもしれないけれど、そういうのも取り入れた自由な脳内旅行の話を考えたの。

柴田 別れが増える歳になっても、記憶の中ならいつでも会えますものね。

田村 そうなの。私が受け持っているお絵描きの教室で、生徒さんたちと「孤独」の話題になった時、ある女性がすごくいいことを言ってた。「ひとりでいてもひとりじゃない。一緒にいても一緒じゃない。孤独は不思議ね」と。

思わず「今の言葉、カッコイイ!」と言っちゃった。ひとりで寂しくないこともあるし、逆に人といて寂しい時だってある。そういう捉えどころのない「孤独」を、嫌がらずに大切にしたい。孤独を味方につけたら、歳を重ねることが怖くないもの。