柴田 母が晩年、寂しいと嘆いた時、私は「お母さん、人は誰でも寂しいんだから。でも想像力さえあれば、寂しさも乗り切れるよ」なんて言っていました。「楽しいことや会いたい人のことを思い出したら大丈夫」と。

田村 本当、その通り。キラキラした思い出は消えないから。そういう宝物を心にいっぱい持っていて、あとは近くにちょっとしたことで助け合える人がいたら、本当に幸せ。

柴田 コーヒーを淹れてくださる、素敵なご近所さんとかね。

田村 実はその方のお部屋に、ボトルもキープしてあるの。(笑)

柴田 アハハハ、ちょっと飲む時もあるんですね。

田村 そう。その方の夫の遺影の脇に、一升瓶を置かせてもらってる。17時を過ぎたら飲んでいいと決めていて、お茶をしながら時間が過ぎたら、「じゃあ、せっかくだから」とか。(笑)

柴田 セツコさんみたいな先輩がいらっしゃると、本当に励みになります。こんなふうに、軽やかに生きたいな。

田村 あら、ほんと? ナディーン・ステアという高齢の詩人の『もしも人生をやりなおせるなら』という本に、「今回の私よりもうちょっとおバカさんになりたい」と書いてあったの。きっと真面目な人だったのね。最近あまり聞かないけど、能天気っていいなぁと思う。

柴田 ほんと、そう思います。セツコさんと一緒にいると、まわりの人も幸せになるもの。生きていれば、誰でもしんどいことやつらいことはあるけれど、暗い顔をしてグチを言っていても人が離れていくだけですよね。自分が心を楽にしていると、きっとまわりの人も楽になると思います。

田村 な~に言ってんの。理恵ちゃんこそ、みんなに元気の素を振りまいてる。人を笑わせるお仕事って最高にカッコイイわ。