俳優の柴田理恵さん(右)とイラストレーターの田村セツコさん(左)(撮影:鍋島徳恭)
富山でのひとり暮らしを謳歌していた母に似て、自身もご近所と盛んに交流しているという柴田理恵さん。56年間おひとり様生活の田村セツコさんと、歳を重ねて変化した人づきあいや、孤独について語り合います。(構成:篠藤ゆり 撮影:鍋島徳恭)

前編よりつづく

離れがたい住み慣れた場所

田村 そういえば理恵ちゃん、遠距離でお母さまの介護をなさっていたのよね。

柴田 そうなんです。実家がある富山県のは地域のつながりが強くて、母はそこにたくさんのコミュニティを持っていました。ずっと小学校の教師をしてきたから、地元に教え子もたくさん。退職後は、お茶の先生として学校で教えていたので、4代にわたりうちの母を知っている人もいるんです。

田村 4代! すごいねぇ。

柴田 母はひとり暮らしでしたが、ありがたかったのは、たとえば数日近所のスーパーに顔を出さないと、レジの人が「先生、来ないねえ。風邪ひいて寝込んでるかもしれない」と訪ねてくれたり、近所の人が「先生、ゴミ袋玄関に出しといて。オレが持っていくから」と声をかけてくれたりしたこと。地方のよさだなと思いました。

田村 お母さまが人とのつながりを大切にされてきたからよね。すばらしいわ。私も、同じマンションの人とおつきあいがあるので、ひとり暮らしだけどちょっと安心。

最近、闇バイトとかする悪い子が増えて、おばあさんが狙われてますよね。もしうちにそういう子が来たら、口からはみ出すように口紅をべーっとつけて「いらっしゃ~い」って追い返そうかしら。(笑)