「集合したら15分ほど犬に関する情報交換をし、三々五々パトロールを開始します。見守りといっても散歩しながら家に帰るだけなのですが、案外いろいろなことに気づくもの。この道は暗いから街灯が必要だとか、この家は空き家になったんだとか……。気になることはLINEグループで共有。案件によっては警察や学校、役所に持ちかけ、問題解決を目指します」
実際、わんパトが発足してから地域での空き巣被害が減少しているという。また、地域の安全が守られるだけでなく、林さん自身も救われたことがある。
「散歩から帰ってピックのリードを外し、ちょっと目を離した隙に脱走してしまって。近所のメンバーの家に駆けつけて事情を話すと、すぐにLINEでメンバーに呼びかけ、何人もの方が手分けして探してくださったんです。『ピックちゃん確保しました!』という連絡が届いた時は、感謝で胸がいっぱいになりました。もしメンバーの犬が脱走したら、今度は私が全力で探します!」
犬をきっかけに多くの仲間と出会ったが、犬がいなくてもこのつながりはゆるやかに続いていくはず、と林さんは言う。
「実は、犬が亡くなってしまってからも、わんパトの集合場所に必ず顔を出す80代の男性がいるんです。ワンちゃんたちにおやつをあげるのを毎日の楽しみにされていて、ワンちゃんからも大人気なんですよ。この公園は、私たち近隣住民の大事な憩いの場。安心と安全を維持するためにも、これからも気軽に楽しくパトロールを続けるつもりです」