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暮らしのなかで頼りになるのは、遠くの親戚か近くの他人か。楽しい時間を共有しながら、なにか困ったことがあれば助け合う――。ゆるやかな関係を築いている人たちに話を聞いた。(取材・文:丸山あかね)

施設でできた3人の友だちからお見舞いが

84歳になる母は週に1度、嬉々としてデイサービスへ出かけていく。以前は「知らない人と接するのは嫌だ」と断固拒否していたのだが、通院している病院のイケメン医師から勧められ、行く気になったのだ。

母曰く、「体調が悪いのが自分だけじゃなくて安心したわ。それに、みんな娘に口うるさく言われていることもわかって、情けなさも吹き飛んだ」。

どうやら愚痴友だちができたらしいと適当に聞き流していたのだが、これはすごいぞと感心したのは、半年ほど経過した頃に母が風邪でデイサービスを休んだ時のことだった。なんと、施設でできた3人の友だちから花束や果物が届いたのだ。

すっかり気をよくした母は、3人を自宅に招いて平均年齢85歳の女子会を決行。準備を整えるのは私なので、正直、面倒なことになったと困惑していた。

しかし、彼女たちが「この地域で30年以上暮らしているけど、人の家に招かれたのは初めて」「この歳になって新しい友だちができるとは思っていなかった」と言い合う姿を見て、心底よかったと思ったのだ。これはレアケースなのだろうと思いきや、そうでもないようで……。