(写真:stock.adobe.com)

「共通の楽しみができたことが大きいように思います。3年ほど前に雑誌で《友だち近居》の記事を見かけ、近くに住む職場の友人と2人で『こういう関係は素敵だね』と話していたんです。そこで私が発案し、友人と峰さん、そして近所に一人で暮らす義妹の4人で、読書会のグループを発足させました」

以来、月に1度のペースで集まり、雑誌の記事を題材に意見交換を楽しんでいるという。

「大型台風に見舞われた日には、緊急で峰さん宅に集合。ニュースに耳を傾けつつ、鍋を囲んで楽しく夜を過ごしました。峰さんは少し不安げな様子でしたが、義妹が『今日はここに泊まる』と言ってくれて。後日、峰さんは心強かったと嬉しそうに話していました。義妹も人とのかかわりをあまり求めないタイプでしたが、今や私より頻繁に峰さんと会っていますよ」

佐治さん自身は「近すぎる人間関係は昔から苦手」と言いつつ、峰さんへの感謝の気持ちは本人に直接伝えているとか。

「先日、『峰さんに出会えてよかった~』と伝えたら、『私もよ。孤独に強いと自負していたけど、今は佐治さんがいなかったら寂しいし心細い』と言ってくださいました。このご縁に、心から感謝しています」

佐治さんからは、峰さんがケガをしたり体調を崩したりした時には力になりたい、という頼もしい言葉も飛び出した。

「もしもの事態に備えて、いずれは家の鍵を預からせてもらいたい。ただ、峰さんは心身ともにしっかり自立しているので、時期尚早かもしれません。今はまだ、つかず離れずの距離感を大切にしたいと思っています」

【関連記事】
愛犬の散歩をしながら地域の見守りを行うボランティア「わんパト」をきっかけに、多くの犬仲間とゆるやかに繋がって《ご近所仲間こそ安心の源・2》
ひとり暮らしの友人のがんが再発。緩和ケア施設入居までの自宅療養期間、彼女が選んだ友人たちとLINEで繋がり交代に介護して《ご近所仲間こそ安心の源・3》
トラブルを招くコミュニケーションはズバリ《アドバイス》!? 対人関係専門医「集団に溶け込むには<自分を下げる>アピールが有効で…」

【ルポ】ご近所仲間こそ安心の源
1)隣人と読書会をする仲に/佐治恵子さん(57歳・会社員)の場合
2)愛犬の散歩をしながら地域の見守り/林みどりさん(66歳・主婦)の場合
3)ひとり暮らしの友人のがんが再発し…/遠藤あけみさん(65歳・自由業)の場合