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電話は必ずひと呼吸置いて

次に気をつけたいのは、特殊詐欺です。いわゆる「オレオレ詐欺」犯罪ですが、これだけ報道されても、親の心理の隙をつくのがうまく、被害は後を絶ちません。ターゲットにされやすいのは、弁護士や医師など社会的地位の高い子どもを持つ親です。

「わが子のキャリアに傷をつけたくない」という思いにつけ込み、「お客さんから預かったお金をうっかりなくしてしまった。母さん、100万円だけでも都合がつかない?」とか、「お宅の息子さんが痴漢を働いたそうです。示談金を用意できませんか?」と、警察官を名乗るなど巧みな言葉で焦らせてきます。

残念ながら、住所や電話番号、職業、年齢などの個人情報は知らず知らずのうちに流出しているもの。相手がどれだけ子どものプロフィールに詳しくても、いったん電話を切り、本人に確認してください。動揺するのもわかりますが、ひと呼吸置いてまずは疑うことが大事です。

お子さんがいない人も油断してはいけません。警察をかたり、あなたが加害者であるという嘘の電話をしてくることもあります。最近は、実在する警察署の代表番号を偽装し、着信画面に表示させることもできるように。いったん電話を切り、再度警察署の番号にかけて確認をとる癖をつけてください。

詐欺犯の文言は似通っていて、「あなたの口座が特殊詐欺犯の資金洗浄に使われています。このままだとあなたも犯罪者になりますよ。私はA県警から依頼を受けて電話をしています。これから言う番号に電話をかけ直してくれれば、A県警に電話を転送します」といったもの。

警察が本人に電話で、捜査対象になっていると伝えることなどありませんし、警察署間で電話を転送することもありません。「捜査対象」「転送」という言葉が出たら、電話を切りましょう。

もしここで応じてしまうと、今度はLINEなどのSNSに誘導されます。警察官をかたる人物からビデオ通話や画像でニセの警察手帳や逮捕状を示され、「口座の資金を確認する必要があります」「一度お金を振り込んでもらい、資金調査を行います」と言ってくる。警察がSNSに誘導することはないため、これは確実に詐欺です。

また、こうした電話を受けたら、「怪しい電話がありました」と110番通報してください。警察は事例を集めているので、あなたの通報が新たな被害を食い止めることにつながるのです。