目指したのは「強羅の大自然が与える感動に、五感で浸れる空間」
綾館を手がけたインテリアデザイナーの座間望さんは、「強羅の大自然が与える感動に、五感で浸れる空間」を目指したという。
「最初に敷地を高い位置から見た時に、遠くに広がる山並と、目の前の木立のコントラストが印象的でした。箱根火山の噴煙地、大涌谷では岩の合間から噴気が立ち上り、地下から温泉がこんこんと湧いています。そのような箱根山全体のパワーを、どうしたら、心地いいおもてなしにつなげられるか。そこがいちばん工夫したところです」(座間さん)
綾館のカラートーンは、箱根の大地からインスピレーションを得た“地域の色味”を前面に打ち出した。溶岩の漆黒、湧き上がる地熱の朱赤、岩のグレーベージュ。ロビーと部屋が喚起するイメージは、ここから来ている。
対照的に、室内の照明はろうそくの光のようなトーンに抑えた。
「外の自然が力強いので、客室では逆に影を意識するようにしました。カラーイメージは太陽ではなく、月灯りにぐっと寄せて、影を作ることによって、滞在中の時間に奥行きが出るように意図しました」(同)
部屋には露天風呂とともにシャワーブースが完備されているが、大きな湯船で温泉気分に浸りたい時は、隣接する「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲 本館」の大浴場へ。サウナも付いた大浴場は、滞在中、何度も利用できる広々とした空間で、新緑から雪景色まで、四季の移ろいを感じ取れる。

夕食、朝食は本館にある「ダイニング旬菜蔵」で。海のもの、山のものと、箱根エリアの旬の食材を中心に、和洋を融合したメニューは、お箸を使って食べるしつらえ。その気どりのなさに、昔の温泉ホテルのような、ゆるやかな趣が残っていて、それもまた楽しい。

近頃はペットと旅をするスタイルも浸透中だが、ここは愛犬と泊まれるドッグフレンドリールームも完備。部屋の露天風呂に浸かるかたわらで、愛犬ものびのびと休暇を過ごすことができる。
