入場券を買うため窓口の列に並んでいると、見ず知らずの男の人が突然…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは千葉県の70代の方からのお便り。ある時、玄関先を掃除していると、年配の男性に話しかけられたそうで――。

人生、そこそこツイてる

ある時、玄関先をほうきで掃いていると、通りかかった年配の男性に話しかけられました。

「入院していた妻が退院して、自宅で介護が必要になる。だが自分には仕事があり、日中は留守になる。どうしたらいいのか困っている」という話でした。

こういう時、私はどうしても無愛想になったり適当に聞き流したりすることができず、耳を傾けてしまいます。私は親の介護を経験していたので、利用できるサービスや、介護保険の使い方を教えてあげました。

「そんな便利なものがあったなんて知らなかった、すぐに調べてみる!」と言って、男性は帰っていきました。

夫は「見ず知らずの人の話に、そんな真面目に返すか? 信じられないよ」と言います。私も気持ち半分ぐらいはそう思いますが、おそらくご本人は切羽詰まっていたのでしょう。知らない人に声をかけるのは、案外勇気がいりますから。あの人にとって私は、単に声をかけやすいように見えただけだったのかもしれませんが。