男女の格差・費用負担の格差
第三に男女の格差があります(図表3)。日本の47都道府県のうち40道府県では、男子よりも女子の大学進学率が低い。これは、地方では奨学金を借りて大学に進学することが一般的であり、返済の負担を考慮して、特に女性の場合は大学進学を諦めるケースが多いからです。親が「結婚前の娘に借金を背負わせたくない」と考えるため、女子が大学に進学できないという状況がまだ多く存在します。
第四に、大学生活にかかる費用の負担にも格差があります(図表4)。生活費と授業料について、国立大学に通う実家暮らしの学生と、私立大学に通う一人暮らしの学生とを比べると、合計で年間130万円以上の差があります。先ほど言ったように、世帯収入が多い人ほど国公立大学に進学しやすいわけですから、地方に住んでいて世帯収入が少ない学生が、都会の私立大学に通うとなると、学費だけでなく生活費の負担も増える。最も恵まれていない環境の学生が、都会で高い生活費と学費を負担しなければならないのです。

(図表4)<『教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由』より>
このように、所得が高く恵まれている環境にある人ほど大学進学にかかる費用が安くなり、所得が低く恵まれていない環境にある人ほど大学進学にかかる費用が高くなるという、大学進学費用の逆進性が、日本の大学進学率を低くしているのです。
僕たちは、オンライン大学の設立を通じて、この現状を大きく変えられると考えています。地方の大学進学率を向上させ、学費の面でも格差を是正することが、本格的なオンライン大学をつくることで実現できると考えているのです。