「教育は善をなすことが、成功につながる幸せなビジネス」と語るのは、通信制高校・N高等学校の設立メンバーである株式会社ドワンゴ顧問の川上量生さん。N高校は、従来の通信制高校のイメージを覆し、在籍生徒数日本一の通信制高校として海外、東大、芸術系大学など多彩な進学実績を誇っています。そこで今回は、2025年4月に開学したZEN大学の立ち上げにも携わった川上さんの著書『教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由』より一部を抜粋・再編集してお届けします。
ZEN大学
2025年4月に開学するZEN大学のすべてを、包み隠さずお話ししましょう。
ZEN大学は日本最大の通信制高校を生みだしたドワンゴと、日本最大級の民間財団である日本財団がタッグを組んで設立した本格的なオンライン大学です。
簡単に大学の概要を説明しておくと、学部は知能情報社会学部のひとつ。学生は、この学部で279科目から必要な科目を選択して学ぶことになります。大学卒業資格に必要な授業の履修はオンラインですべて完結します。1年あたりの授業料は38 万円、1学年あたりの入学定員は3500人です。
実は当初の入学定員は5000人の予定でした。これは少子化で入学者の確保に悩む大学業界ではかなり衝撃的な数字だったようです。そのあたりが影響したのかどうか、文部科学省(以下、文科省)の大学設置・学校法人審議会でも5000人という数字が議論になり、結果、ZEN大学の入学者予測の見込みの甘さもあったのでしょう、入学定員を3500人に減らした上で大学設置を認可されました。
なぜ僕たちは、1学年5000人規模の巨大なオンライン大学をつくろうと考えたのか。その最大の理由は、オンライン大学はある程度の規模がないと授業料を安くできないからです。
これから詳しく説明するように、オンライン大学には、大学進学における格差の問題を解決できる可能性があります。そのためには、だれもが利用しやすいように授業料を低く抑える必要があります。そして授業料を安くするためには、ある程度の規模を持った大学にすることが必要なのです。