日々のレッスン以外にも、毎月のように公演を行っている雑賀さん。最近では、10代の頃に知り合ったという故・谷川俊太郎さんの詩に振り付けしたバレエ作品を披露した。雑賀さん自身、現役で舞台に立つ踊り手であることにも驚かされる。
「踊りを始めて83年になるけれど、今もバレエに夢中。死ぬまで踊りと関わっていたいというのが、私の望みですね」
同じ敷地内に住む娘のうたこさんのサポートを受けつつ、基本的に一人暮らし。食事もすべて自分で作る。三食欠かさず食べるのが、果物やジャムを入れたヨーグルトだ。
「バレエの国際コンクールに出場する生徒をブルガリアへ連れていった時、泊まったホテルの朝食に、ビールジョッキくらいの大きな器でヨーグルトが出たんです。あちらの方は一人でそれくらい食べるのですって。私もそれが習慣になって、今も続けています」
朝はほかに、20代で留学したパリで好きになったクロワッサンとカフェオレ、そして卵などのたんぱく質を摂る。
「私は小学校3年生の時に母を亡くしたので、料理を教えてもらうチャンスがなく、何を食べたら体にいいかといった知識も身についていませんでした。留学先で初めて一人暮らしをしたのですが、慣れない異国での生活でどんどん弱っていってしまって。
下宿先のおばさんが見かねて部屋の前に毎日、朝食を用意してくれるようになりました。それが、今も食べているクロワッサン。お皿に添えられた、温かい紅茶も嬉しかったですね」