池田理代子さんと林真理子さんは旧知の間柄。池田さんが24歳の時に連載を始めた『ベルサイユのばら』は、林さんも大ファン。世代を超えた人気作品の秘密から、ともに嗜んだ趣味についても語り合って(構成:山田真理 撮影:宮崎貢司)
大人になってからも胸に響く
林 『ベルサイユのばら』が今年劇場アニメ化されて、何回目かのブームですね。今回そうしたお話もうかがいたいと思って、私から対談をお願いしました。
池田 お久しぶりです。昔は遊びでも趣味でも、よくご一緒しましたね。
林 『ベルばら』は、漫画としては53年前の作品です。それがいまだに「命」を持っているのが私はすごいと思っていて。
池田 むかーし、林さんが私に「『ベルサイユのばら』は、あなたが死んでもずっと残る」と言ってくれたの。すごく嬉しくて、今でも覚えてる。
林 映画の記者会見で理代子さんが「『ベルばら』は女性の地位向上を考えて描いた」とおっしゃっていたけれど、その思いは当時、世の中にうまく伝わっていなかったと思いませんか?
池田 少女漫画は子ども向けというイメージが強かった時代。でも、反響を寄せてくれたのは、働く女性たち。手紙に「私もアンドレが欲しい」と書いてくる人がいっぱいいました。(笑)
林 そしてオスカル! 今でこそ珍しくないけれど、男性の恰好をして男性として生き、心も男性になろうとするというのが、本当に新しいと思いました。
池田 女性の社会進出が増えた時代でしたから。オスカルが衛兵隊の荒くれ者の部下と真剣勝負をして、信頼を勝ち取るシーンが胸に響いたという人も。
林 年齢を重ねてから読むと、また違った感想が持てるんですよね。それこそ『ベルばら』が名作である証しだと思う。