素直に助けを借りる
今日できたことが、明日も同じようにできるとは限りません。人の力を借りずに自力で頑張りたいという気持ちは立派ですが、人は一人で生きられるものではありません。助けたり、助けられたりしながら生きているのです。
そう考えると、民生委員はもちろん、近所の人の助けに対して、「大丈夫ですから」と断らず、「ありがとうございます」と素直に助けを借りたほうが賢明でしょう。
もし、本当に「いまは必要がない」のなら、「ありがとうございます。でも、いまはなんとか大丈夫です。ただ、困ったときには、ぜひ力を貸してください。そのときはよろしくお願いします」と言っておけばいいのです。
「けっこうです」と突っぱねてしまうと、本当に困ったことがあっても、「いまさら助けてほしいなんて言いにくい」となりがちです。
年をとったら周囲の人の力を借りるのも「シニアらしい知恵」なのです。
保坂隆さんの連載「人生を楽しむ ほどほど老後術」一覧
出典=『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』(著:保坂隆/中央公論新社)
保坂隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
1952年山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。
著書に『精神科医が教える お金をかけない「老後の楽しみ方」』(PHP研究所)、『精神科医が教える 繊細な人の仕事・人間関係がうまくいく方法』(三笠書房)、『精神科医が教える すりへらない心のつくり方』(以上、大和書房)、『頭がいい人、悪い人の老後習慣』(朝日新聞出版)、『精神科医がたどりついた「孤独力」からのすすめ』(さくら舎)などがある。