菊五郎襲名、何ができるか
7月は大阪松竹座で、八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助襲名披露の「七月大歌舞伎」に出させて頂きます。菊五郎が七代目八代目、同時にいる時代ってすごく面白い時代ですよね。その襲名に携わらせていただけて、光栄です。「自分には何ができるか」を意識しながらつとめます。
昼の部の『新版歌祭文 野崎村』で僕が演じる久松は、油屋の手代(丁稚)で、主人の娘お染と恋仲になるものの、許嫁のお光との間に挟まれる、いわゆる「つっころばし」といわれる若い男の役です。この舞台では、正しいシケの使い方が見られます(笑)。
歌舞伎では、シケはただあるもので、触らない(笑)。ちょっと色気がある男に使われるもので「色ジケ」って言います。柔らかさを大事にしつつ、お嬢様と恋をしてしまったことの後悔、2人の女性に挟まれた男の苦悩も出せればいいなと思います。
お光役の中村壱太郎さんは近年、ずっと僕の相手役を勤めてくれて、今年のお正月も歌舞伎座での新作歌舞伎『大富豪同心』で、(ヒロインの)美鈴を引き受けてくれました。3つ年上ですが、大好きな先輩です。
お染役の中村扇雀さんは、コロナ禍の2022年に大阪松竹座公演『堀川波の鼓』で、僕が代役に入った際にご一緒させて頂きました。親子ほど年が離れていますが、包容力がありながら、真に迫るお芝居をされる先輩で、今回またご一緒させて頂けるのが、楽しみです。