最新小説『月収』を上梓したばかりの原田ひ香さんと、大の本好きで読書エンターテインメント番組の司会も務める俳優の鈴木保奈美さん。小説のテーマでもある、お金と幸せの関係について語り合いました(構成:平林理恵 撮影:大河内禎)
「パパ活」「FIRE」新しい働き方や収入の形
原田 ところで俳優というお仕事は、台本に書かれた人物を、自分の身体を通して表現していくわけですが、そのために鈴木さんはどんなことをなさっているのですか?
鈴木 格闘しています。(笑)
原田 格闘ですか。実は以前、私の書いた小説がドラマ化されたとき、収録前に台本をいただいたんです。私はシナリオを書いていたこともあるので、本と脚本は異なることをある程度は知っていました。ところが脚本を読んでもどんなふうに仕上がるのかよくわからなかったんです。これで大丈夫なのかな? とさえ思いました。
でも、できあがったドラマを見たら、私の書いた人物がくっきりと浮かび上がり、すばらしい仕上がりで。いい意味で裏切られたんです。鈴木さんは「格闘」という言葉を使われましたが、どう肉付けし行間を埋めるのですか?
鈴木 そこに書かれている人物のバックグラウンドを全力で想像します。もちろん調べられるところは本を読んだり話を聞いたりして。そこからまた想像力を働かせて、こんな感じかな? と探っていきます。
原田 大変な作業ですね。
鈴木 あまり大変だというふうには思わないのです。好きでしていることだからかもしれませんね。
原田 一方で、鈴木さんは書き手でもあり、『婦人公論』で連載をお持ちですよね。